起承転結は万能ではない

 日本語の文章の書き方について言及した本に必ず出てくるのが「起承転結」です。まず話を起こし、その内容を承け、転じて変化を起こし、最後に結論を持ってくる書き方です。

 ビジネス文章には不向き

あらゆる物語に使われる構成で、文章の収まりがよく、読み手の興味もそらさない書き方です。しかし、新聞記事やビジネス文章にはあまり向きません。

 

私が普段書いている新聞記事は通常のニュース記事なら11字×50行、その紙面で最も目立つ扱いのアタマ記事でも前文込みで100行です。最近は長めのアタマ記事が増えていますが、それでも130行ぐらいです。

 起承転結の要素を入れ込むには短すぎるのです。

 重要なものから順に書く 

新聞記事やビジネス文章は、短時間でわかりやすく読んでもらうために重要なものから順に書きます。起承転結の転の部分は、結論を導くためになくてはならない要素ですが、これが文章の終わり近くに出てくる構成になってしまいます。

 起、承、と読んできた読者の思考が転の部分で立ち止まってしまう可能性もあります。すらすらと読めるのが新聞記事やビジネス文書に不可欠の要素ですが、転の部分で流れが急に変わるので読みにくくなります。

 新聞記事は結承承結

 新聞記事やビジネス文書はまず結論から書きます。そして、その結論を補強したり、理解しやすくしたりする材料を重要な順番に書いていきます。短い時間で意味の通る文章を書くにはこの方法が適しているのです。あえて言うなら、結承承結でしょうか。