新聞記事やビジネス文章の書き方を学ぶときに、まず目にするのが「5W1H」です。これは英語の頭文字をとったもので、When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、What(何を)、Why(なぜ)、How(どのように)を指しています。
情報を正しく伝えるために必要な要素
情報を正しく伝えるために必要不可欠なのが、この5W1Hとされています。新聞記事、特に事件や事故を短く扱ったものでは、5W1Hは全部入っています。ビジネス文書でも、正確性を期するならこの6つの要素は欠かせません。
わかりやすく書けば自然に5W1Hは含まれる
ただ、毎回文章を書く際に5W1Hがきちんと入っているかを考えるのは面倒です。私は記事を書くときに、5W1Hを意識したことはありません。相手に正しい情報をわかりやすく伝えようとして書けば、自然に5W1Hは含まれるものなのです。
5W1Hを正確に書いた場合の文例
例えば、日銀総裁が日銀記者クラブで開いた会見で、最近の経済動向は想定の範囲内であり、当面は現在の金融政策を維持するという内容の発言をした、という記事を書くとします。5W1Hに沿うと、「11日、日銀の黒田総裁は、日銀記者クラブで会見し、金融政策について、最近の経済動向は想定の範囲内であり、現在の政策を維持すると述べた。」という記事になります。わかりにくくていい文章とはいえません。読者が知りたいのはもっと違う情報ではないでしょうか。
5W1Hより読みやすさを意識した文例
読者の立場に立ってわかりやすい記事を書くとこうなります。「11日、日銀の黒田総裁は会見で、当面は現在の金融政策を維持すると述べた。最近の長期金利の上昇で、日銀の金融政策の動向に注目が集まっていた」。読者にとって総裁がどこで会見したかは特に興味がない情報だと考えたので省きました。このニュースの肝は、日銀が現在の政策を維持する、という部分ですが、金融にあまり詳しくない人が思うのは、なぜこれがニュースなの、という疑問だと思います。そこで、なぜこの発言が注目されるのか、その理由を別の文章で付け加えました。5W1Hは基本ではありますが、わかりやすい文章を書こうと努力していれば自然に身につきます。