ベテラン新聞記者が教える文章の書き方

2021/12/17

 私は某大手紙で35年記者をしています。自分が仕事で身につけた文章をうまく書くコツを少しでも多くの方に役立ててもらいたいと思いこのブログを始めました。できるだけ丁寧に解説していきますのでよろしくお願いします。すっきりしたわかりやすい文章を書くヒントをたくさん提示していきます。

 新聞記者は実は文章がうまい訳では無い?

 職業を聞かれて「新聞記者です」というと、多くの人が「仕事柄文章が上手でしょうね」と言ってくださいます。その時、私は「いや、そうでもありませんよ」と答えます。これは謙遜ではなく、本気でそう思っています。

 書いた人の個性が際立つ文豪の文章

 文章がうまい、というと、まず頭に浮かぶのが文豪といわれる小説家でしょう。井伏鱒二、川端康成、夏目漱石、芥川龍之介といった面々です。こうした作家の作品を読むと、一つ一つの言葉の効果的な使い方や文章の流れの巧みさに感動します。同じ日本語を使っていながらそれぞれに個性があり、2、3ページ読み進めると、誰の作品かだいたいわかります。

 新聞記者の文章は個性のない工業製品

 では新聞記者の文章はどうでしょうか。今朝の朝刊を手に取って読んでみてください。どれも読みやすい文章ではありますが、感動はないでしょう。記者の個性も感じないと思います。それでいいのです。文豪の書いた文章は芸術作品で、新聞記者が書く文章は工業製品です。

 新聞記事はルールを知れば誰でも書ける

 同じ記者会見に出て記事を書いているのに、朝日と読売と産経とで記事の内容が違っていたら読者は混乱します。ニュースの正確な内容が読者に伝わっていないということになります。文豪の文章は他人が真似できませんが、新聞記者の文章はルールを知り、練習すれば誰でも書けるようになります。興味を持たれた方は是非読んでいただけるとありがたいです。